Japanische Klassiker mit Furigana
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むかしのかじ
昔の火事
宮本 百合子
Lesen Sie 昔の火事 (むかしのかじ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.494 Zeichen · 21 Bildschirme
塗りたてのペンキの匂いのなかを、仕上場の方へ行って見ると、人っ子一人いない大天井の下に、大半が陳列されたままある。陳列の様子は、小学校の卒業式のときの陳列を思い出させた。どれも一生懸命、真面目に並べられてある。この陳列をそのえらい先生たちに見せてしまうと、井上は掘った竪穴をみんな元のように埋めて、もうここへは来なくなってしまうわけなのである。
辰太郎は外へ出て、先ず火事を出した竪穴のところへ行ってみた。穴一面に浅く雨水がたまっている。次、次、どれも長方形の池のようだ。辰太郎は、火事を出した竪穴のところへ来て立って、永いことその長方形の浅い水の面に軽い雨粒が落ちてつくる波紋を眺めていた。やがて、何を思ったのかゴム長の爪先でまだそこに盛られている土の塊りの一つをそっと竪穴の空気の中へ蹴こんだ。そして、辰太郎は水の底から何か音のきこえて来るのをでも待つような眼色をした。