Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Lesen Sie 星女郎 (ほしじょろう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.344 Zeichen · 104 Bildschirme
峰から落し、谷から推して、夕暮が次第に迫った。雲の峰は、一刷刷いて、薄黒く、坊主のように、ぬっと立つ。
日が蔭って、草の青さの増すにつけ、汗ばんだ単衣の縞の、くっきりと鮮明になるのも心細い――山路に人の小ささよ。
蜻蛉でも来て留まれば、城の逆茂木の威厳を殺いで、抜いて取っても棄つべきが、寂寞として、三本竹、風も無ければ動きもせず。
蜩の声がする…………
五
カラカラと谺して、谷の樹立を貫ぬき貫ぬき、空へ伝わって、ちょっと途絶えて、やがて峰の方でカラカラとまた声が響く。
と、蜩の声ばかりでなく、新に鐸の音が起ったのである。
ちりりんりんと――しかり、鐸を鳴らす、と聞いただけで、夏の山には、行者の姿が想像されて、境は少からず頼母しかった。峠には人が居る。
その実、山霊が奏でるので、次第々々に雲の底へ、高く消えて行く類の、深秘な音楽ではあるまいか、と覚束なさに耳を澄ますと、確に、しかも、段々に峰から此方に近くなる。
蜩がそれに競わんとするごとく、また頻に鳴き出す――足許の深い谷から、その銀の鈴を揺上げると、峠から黄金の鐸を振下ろして、どこで結ばるともなく、ちりりりと行交うあたりは、目に見えぬ木の葉が舞い、霧が降る。