Japanische Klassiker mit Furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Lesen Sie 星女郎 (ほしじょろう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.344 Zeichen · 104 Bildschirme
さあ、もう本箱の中ばかりじゃない、縁の下でも呻吟けば、天井でも呻吟く。縁側でも呻唸り出す――数百の虫が一斉に離座敷を引包んだようでしょう、……これで、どさりと音でもすると、天井から血みどろの片腕が落ちるか、ひしゃげた胴腹が、畳の合目から溢出そう。
幸い前の縁の雨戸一枚、障子ばかりを隔てにして、向うの長土間へ通ずる処――その一方だけは可厭な声がまだ憑着きません。おお! 事ある時は、それから母屋へ遁げよ、という、一条の活路なのかも料られん。……
お先達、」
と大息ついて、
「……こう私が考えたには、所説があります。……それは、お話は前後したが、その何の時でした。――先刻、――
(だって、山蟻の附着いてる身体ですもの。)
で、しっかり魂を抱取られて、私がトボンとした、と……申しましたな。――そこへ、
(お綾さん、これなのかい。)
と声を掛けて、貴婦人が、衝と入って来たのでした。……片手に、あの、蒔絵ものの包を提げて、片手に小な盆を一個。それに台のスッと細い、浅くてぱッと口の開いた、ひどくハイカラな硝子盃を伏せて、真緑で透通る、美しい液体の入った、共口の壜が添って、――三分ぐらい上が透いていたのでしたっけ。