Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はるのやま

春の山

久生 十蘭

Lesen Sie 春の山 (はるのやま) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.782 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

負けということになるんでさ」

「その程度なら、いやな思いをしなくてもすみそうだ」

「見る気があるなら、見ておきなさい。花試合がはじまったら、そっと迎いにきますから」

二時間ほどしてから、吉青年が迎いにきた。小屋の横手から尾根を越え、谷戸につづく細道をおりて行くと、むかし豆腐川が流れていた涸谷の磧に出た。

磧のむこうは、茨や萱にとじられた深い雑木林で、その奥でさかんな人声があがっている。

「あの中でやっている。見つかると、いい顔はしないから、隙見する程度にしておきな、明月院の相手は、佐介という黄笹の軍鶏です。もうはじまる、おれはあっちへ行くよ」

吉青年が行ったあと、雑木林の近くまで忍んで行くと、木立の間から、花々しいほどの闘鶏場の風景が見えた。

それがリンクになるところなのだろうか。雑木林に囲まれた草地の中央を二坪ばかり掘りさげて川砂を敷き、四つ隅に杭を打って、三尺ほどの高さに茣蓙で囲ってある。リンクのまわりにシートを敷きつめ、審判席とでもいうようなところに、抜目のなさそうな面がまえの男が十二人、親分の貫禄を見せて座布団のうえにゆったりとおさまり、巻脚絆に地下足袋をはいた世話役が二人、介添のかたちで、片立膝で控えている。