Japanische Klassiker mit Furigana
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はる
春
宮本 百合子
Lesen Sie 春 (はる) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.512 Zeichen · 8 Bildschirme
眠り足らず、幾分過敏になりかけていた神経は快いくつろぎを感じ、更に二三時間休みを得るのだ。
一緒に暮している友達は、いつも私より一時間位早い。彼女は、目が醒めると勢よく二階から降りて来る。その階子が、私の眠っている部屋の頭の方に当るので跫音は大抵ききつける。ききつけながら、私は眠りつづけるのだが、友達は、どちらかといえば私にも早く起きて欲しいに違いない。起きてよい頃と思うと、物音に遠慮しない。
然し、その朝は余り眠く、体がくたくたであった。眠いという溶けるような感覚しか何もない。十一時頃茶の間にやっと出た。まだ包紙も解いてないパン、ふせたままの紅茶茶碗等、人気なく整然と卓子の上に置かれている。――奇妙なことと思い、少し不安を感じた。起きた順に、朝食はすまして勉強することに定めてあるのだから。見ると、日の照る縁側に、まだ起きぬけのままの姿で、友達が立っている。ただのんきに佇んでいるのではない。丁度自分のところまで閉めた硝子戸によりそい、凝っと動かず注意をあつめて庭の方を視ているのだ。私は生きもの同士が感じ合う直覚で、ひとりでに抜き足になった。そして後から廻って近よった。