Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はる

春

宮本 百合子

Lesen Sie 春 (はる) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.512 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

「はずみね。それにこの籠の戸が少し普通より堅いから、ぱたんと落ちなかったのよ」

「一日こうやってもいられないわね……二階に上ってしまおう!」

文鳥は、樫の枝から八つ手に翔んだ。細い脚でつかまられて、八つ手の手毬のような叢花がたわたわ揺れる。

昼過になった。日ざしが斜に樹木の葉うらから金色にさすようになった。文鳥は、垣根の外へまだ翔び去りはしない。けれども、今は自由に、右に左、庭じゅうを飛ぶ。人の近よる気勢にぱっと翔び立つ羽音など、つよく雄々しくなって来た。庭にいるのは、籠に残した仲間に牽かれてではないことが明かになった。残された方も幾分独りに馴れ、気が鎮ったらしい。つきつめて外の鳥を見ていた眼をそらせ、グジュウジュウとうっとりひとり鳴きをしながら、粟をつつく。その有様は、心易いような、果敢ないような感情を起させた。外の文鳥は、自分の入っていた籠や籠の仲間を忘れきったのか?

私共は用事があって夕刻から夜にかけて外出した。私は帰るなり訊いた。

「どうして、鳥は」

留守居の若い娘は、弁解するように答えた。

「いつまでも硝子戸をあけて置きましたが帰って参りませんから閉めてしまいましたけれど……」