Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はる

春

宮本 百合子

Lesen Sie 春 (はる) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.512 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

「いいよ、いいよ」

友達が云った。

「かえりたくない鳥さんには帰って貰わないでも」

今夜は何処で塒を見つけるのかな。心配するのは人間の心持だ。自然は豊富に、枝の茂み葉のかさなりを持っている。私は硝子戸を静にあけ、外を見た。暗い。室内からさす燈火のかげで、近い樹木の葉が一部分光る。軽く風が吹いた。梢が動く。動く梢のどこかの奥に、あの優美な羽色を夜に沈め、広い世界に出た始めての眠りを快く、爽やかに眠っているだろう文鳥。夢に何を見るか。沈丁花の香りが流れて来た。私は鉢前を見下した。鉢前に、しるしばかりの池がある。池の面がさやかに蒼んで、縁側からは見えない中空の何処かに現れた月を思いがけずうつしていた。私は、永い間その月かげを見守った。月を中心に、文鳥や沈丁花が心を往来する。私は元読んだ短い詩の断片を思い出した。

秋来見レ月多二帰思一

自起開レ籠放二白※(「閑+鳥」、第4水準2-94-42)一

今は春だし、文鳥だし、連想はちぐはぐなようだが、私にとって或る切なものがあった。思い出。二年前、或る秋偶然この詩を読んだ。私は更に繰返して幾度もよみ、終に涙を流した。ああ「自ら起て籠を開いて白※(「閑+鳥」