Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はる
春
Lesen Sie 春 (はる) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.519 Zeichen · 20 Bildschirme
それを今彼等の問答は無造作に片づけてしまったのだった。ふとその事実に気のついた広子は急に常談を言う寛ぎを感じた。
「じゃ立派な若旦那様なのね。」
「ええ、ただそりゃボエエムなの。下宿も妙なところにいるのよ。羅紗屋の倉庫の二階を借りているの。」
辰子はほとんど狡猾そうにちらりと姉へ微笑を送った。広子はこの微笑の中に突然一人前の女を捉えた。もっともこれは東京駅へ出迎えた妹を見た時から、時々意識へ上ることだった。けれどもまだ今のように、はっきり焦点の合ったことはなかった。広子はその意識と共にたちまち篤介との関係にも多少の疑惑を抱き出した。
「あなたもそこへ行ったことがあるの?」
「ええ、たびたび行ったことがあるわ。」
広子の聯想は結婚前のある夜の記憶を呼び起した。母はその夜風呂にはいりながら、彼女に日どりのきまったことを話した。それから常談とも真面目ともつかずに体の具合を尋ねたりした。生憎その夜の母のように淡白な態度に出られなかった彼女は、今もただじっと妹の顔を見守るよりほかに仕かたはなかった。しかし辰子は不相変落ち着いた微笑を浮べながら、眩しそうに黄色い電燈の笠へ目をやっているばかりだった。