Japanische Klassiker mit Furigana
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ひるのはなび
昼の花火
山川 方夫
Lesen Sie 昼の花火 (ひるのはなび) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.030 Zeichen · 15 Bildschirme
野球場の暗い階段を上りきると、別世界のような明るい大きなグラウンドが、目の前にひらけた。
氾濫する白いシャツの群が、目に痛い。すでに観客は、内野スタンドの八分を埋めてしまっている。
グラウンドには、真新らしいユニホームの大学の選手たちが、快音を谺するシート・ノックの白球を追って、きびきびと走り廻っている。日焼けした顔に、真上からの初夏の光が当って、青年たちは、野獣のように健康な感じだ。捕球する革具の、鈍い響き。固く鋭いバットの音。掛声。それが若々しい声援や拍手に入り乱れて、通路を歩きながら、彼も軽い昂奮に引き入れられた。
「うん。上手い」
「チェッ、まずいな」
そんなことを、席をさがしながら、無意識に口にしていた。
並んで坐ると、すぐに女は訊いた。
「これ、まだ練習なの?」
「うん。まだ練習なの」
場内の昂奮に感染したみたいに、女が拍手をする。弾ぜるような音だ。それが続く。
肉の豊かな、やわらかな女の掌を感じさせて、瞳の隅で、その白い灯がちらちらする。避けるように、彼はグラウンドをみつめた。
フィールドの土は、湿っていて、その焦茶いろが新鮮だった。
昨夜の小雨のせいだろうか。