Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じかん

時間

横光 利一

Lesen Sie 時間 (じかん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.473 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

それじゃ一本歯で来い、いや軟拳にしろといい合っているうちにもう片方の二人から、は、は、よう、たち、はい、に、さんぼん、とやり出したので、傍で見ている女たちも笑い出して高木さんの方が手つきがいいのいや木下さんの方が締っているのといいいい波子を背負う順番だけを漸く決めると、もう先きに立ったものが竹林を出て歩き出した。

しかし、傘は十二人に三本よりないところへ向い風で雨が前からびゅうびゅうと吹きつけて来るので、四人に一つの割りで傘を中にし一列に細長く縦隊を作ってびしょびしょと濡れて歩いていかねばならない。一番まん中に病人の波子を御輿のように守ってその後に女達、それから男と行くのだが佐佐が中からとうとう蕎麦を食べ忘れたじゃないかといい出すと、そうだ蕎麦だということになってまた一隊は立ち停った。けれども今からはもう蕎麦どころか追手につかまればまた明日から水ばかりより飲めないのだから、ひと思いに今夜のうちに峠を越してしまえば明日はどうにでもなろうという気勢の方が盛んになって、そのままずるずる一団は芋虫みたいに闇の中へ動いていった。動き出してから暫くは女達のあんこの出たフェルトがぴちゃぴちゃ高く鳴り始めると追手ではないかと気が気でなくなり、ときどきはいい合したように後ろを振り返るときもあったが、もし宿屋が気がついて追手