Japanische Klassiker mit Furigana
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じかん
時間
横光 利一
Lesen Sie 時間 (じかん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.473 Zeichen · 32 Bildschirme
になってそれなら水を入れるには帽子が良いからという高木の発案でソフトに水を受けてみると、水は数歩ももじもじしている間にすっかり洩れてしまって何の役にも立ちはしない。それで今度は皆の帽子を五つ合して水を受けるとやっとどうやら洩れないだけは洩れなくなったが小屋まで持っていく迄には疑いなく無くなるのは決っているのだ。そんなら小屋まで一番早く帽子を運ぶには十一人でリレーのように継ぎながら運ぼうではないかと佐佐がいい出すと、それは一番名案だということになっていよいよ十一人が三間ほどの間隔に分れて月の中に立ち停ると、私は最後に病人の所へ水を運ぶ番となって帽子の廻って来るのを待っていた。その間私は絶えず病人を揺り続けているのだが、もう彼女はさっきから殴り続けられた指跡を赤く皮膚に残したまま、私に揺られるがままに身体をぐたぐた崩して寝入ってしまってなかなか眼を醒しそうにもない。それで私は彼女の髪の毛を持ってぐさぐさ揺るとぼんやり眼を開けたは開けたが、それもただ開けたというだけで同じ所をじっと眼を据えて見ているだけである。そこへ丁度最初の帽子が殆ど水をなくして廻って来たので私は病人の口のなかへ僅に洩れる滴をちょろちょろと流し込んでやると、病人も初めてはっきり眼が醒めたと見え、私の膝に手をかけて小屋の中を見廻した。