Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんか
晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 晩夏 (ばんか) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.249 Zeichen · 27 Bildschirme
……
*
明け方早く目を覚ますと、裏の山で何か聞きおぼえのある小鳥がしきりに囀っている。この夏、いろんな小鳥の啼きごえを教わったのは好いが、あんまり一遍に教わり過ぎて、どれがどれだか混んがらかってしまっていた。いまもいま、半分寝呆けて、その小鳥の声を耳にしながら、
「おい、あれはなんだっけな。……おい、おい、好いか、おれがそれを思い出せたら、お前も起きるんだぞ。思い出せなかったら、もっと寝かせてやるよ。」
妻はまだ眠たそうで、そんな小鳥なんぞどうでもよさそうだった。
私はそれには知らん顔で、一生懸命にその口真似をしては、その小鳥を思い出そうとしていた。
「あれは蒿雀だ。……」私は漸っとそれが思い出せると、飛び起きて、窓ぎわに寄っていった。其処から見えた赭松の一つの枝で小さなオリイブ色をした小鳥が二羽飛び交していた。それは蒿雀にちがいなかった。
「おい起きろよ。……」私はしかしそう云うだけで、妻を起しもしないでさっさと着換えをしだした。そうしてなんという事はなしに、きょうはこりあ好い日になるぞと一人で極めて、階下に往って顔を洗って来ると、例の小さな本を持ってヴェランダに出た。