Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゃっこう
晩年
Lesen Sie 晩年 (ぎゃっこう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.459 Zeichen · 91 Bildschirme
四
ものもわからず外へはしって出た。
吹雪! それがどっと顔をぶった。思わずめためた坐って了った。みるみる髪も着物もまっしろになった。
スワは起きあがって肩であらく息をしながら、むしむし歩き出した。着物が烈風で揉みくちゃにされていた。どこまでも歩いた。
滝の音がだんだんと大きく聞えて来た。ずんずん歩いた。てのひらで水洟を何度も拭った。ほとんど足の真下で滝の音がした。
狂い唸る冬木立の、細いすきまから、
「おど!」
とひくく言って飛び込んだ。
四
気がつくとあたりは薄暗いのだ。滝の轟きが幽かに感じられた。ずっと頭の上でそれを感じたのである。からだがその響きにつれてゆらゆら動いて、みうちが骨まで冷たかった。
ははあ水の底だな、とわかると、やたらむしょうにすっきりした。さっぱりした。
ふと、両脚をのばしたら、すすと前へ音もなく進んだ。鼻がしらがあやうく岸の岩角へぶっつかろうとした。
大蛇!
大蛇になってしまったのだと思った。うれしいな、もう小屋へ帰れないのだ、とひとりごとを言って口ひげを大きくうごかした。
小さな鮒であったのである。ただ口をぱくぱくとやって鼻さきの疣をうごめかしただけのことであったのに。