Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ばんしゅう
晩秋
山本 周五郎
Lesen Sie 晩秋 (ばんしゅう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.792 Zeichen · 23 Bildschirme
都留は全身の震えを抑えることができなかった、それで崩れるようにそこへ手をついた。
「わたくし、昨夜のお言葉を、あちらでお聞き申しました」
「それで」主計は身動きもせずに云った、「……それで死んだ父が承知すると思うか」
「はい、……そう信じまして……」
「そうか」溜息をつくようにそうかと云い、ややながいこと沈黙したが、やがて主計はしずかに頷いた、「……これで心の荷を一つおろした、いちばん重い荷の一つだった、おかげで少し肩が楽になったよ」
泣けそうになるのを耐えながら、都留は身を起こし、もういちど主計の背に手を当てた。主計は黙って肩を任せたまま、暫く庭の櫟林のあたりを見まもっていた。
「花を咲かせた草も、実を結んだ樹々も枯れて、一年の営みを終えた幹や枝は裸になり、ひっそりとながい冬の眠りにはいろうとしている、自然の移り変りのなかでも、晩秋という季節のしずかな美しさはかくべつだな」
感慨ふかげな調子だった。都留はそれを聞きながら、――この方の生涯には花も咲かず実も結ばなかった、そして静閑を楽しむべき余生さえ無い。ということを思った――いま晩秋を讃えるその言葉の裏に、どのような想いが去来しているであろうか、と。