Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんきく
晩菊
林 芙美子
Lesen Sie 晩菊 (ばんきく) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.998 Zeichen · 32 Bildschirme
「浮気はやめない?」「まア、貴方って云うひとは、昔の純なとこ少しもなくなったわね。どうして、そンな厭なことを云う人になったンでしょう? 昔の貴方は綺麗だったわ」田部は、きんの銀の煙管を取って吸ってみた。じゅっと苦味いやにが舌に来る。田部はハンカチを出して、べっとやにを吐いた。「掃除しないからつまってるのよ」きんは笑いながら、煙管を取りあげて、散り紙の上に小刻みに強く振った。田部は、きんの生活を不思議に考える。世相の残酷さが何一つ跡をとどめてはいないと云う事だ。二三十万の金は何とか都合のつきそうな暮しむきだ。田部はきんの肉体に対しては何の未練もなかったが、この暮しの底にかくれている女の生活の豊かさに追いすがる気持ちだった。戦争から戻って、只の血気だけで商売をしてみたが、兄からの資本は半年たらずですっかり使い果していたし、細君以外の女にもかかわりがあって、その女にもやがて子供が出来るのだ。昔のきんを思い出して、もしやと云う気持ちできんの処へ来たのだけれども、きんは、昔のような一途のところはなくなっていて、いやに分別を心得ていた。田部との久々の出逢いにも一向に燃えては来なかった。