Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんさん
晩餐
素木 しづ
Lesen Sie 晩餐 (ばんさん) von 素木 しづ (しらきしづ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.410 Zeichen · 7 Bildschirme
けれども子供は、さわがしい、小さなよろこびに満ちた叫声を上げて、スプーンと皿をテーブルの上にたゝきつけた。
『きかない奴だな。』若い父親は、その小さなまるい腕や、敏捷に怜悧にすきもなく動いてる、黒みがちの睫のながい子供の瞳をぢっと見てゐると、どうしたらいゝだらうといふやうに、やがて顔一ぱいな微笑を持って、子供のまるくつき出た頬を指で一寸つまみながら、大きな茶碗をテーブルの下から探すやうにしてとると、彼女の手に渡した。
彼女は鍋から熱い炊き立ての、白い湯気が一ぱい立ち上ってる御飯をついで彼に渡した。そして彼女の若い大きな瞳も、母親らしい嬉しさにみちて子供の瞬間もぢっとしてない、小鳥のやうに愛らしい様子を見つめた。そして、たまらなささうに、この子はどうしたといふんだらう、とふと口の中に独言を云ひながら、どうにも仕方がない程可愛いといふやうな様子で、『坊や、』と強く云ったけれども、笑が顔からあふれて了って、彼女は助をかりるやうに男の顔を見た。そして三人は、すべての事を忘れてしまった様に、子供の為めに互にどうしようかといふ様に笑ひ合った。そして子供の為めに、彼等は暖かい賑かさと、其上に自然に溢れる笑ひと嬉しさを持って食事にとりかゝったのであった。