Japanische Klassiker mit Furigana
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あんごうレコードじけん
暗号音盤事件
海野 十三
Lesen Sie 暗号音盤事件 (あんごうレコードじけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.583 Zeichen · 24 Bildschirme
では、私は何を掴み得たであろうか。音楽マニアにも似たメントール侯のこと、その侯が、音叉を持ちあるいて美声の人を探し求めていること、侯が島の娘たちにたいへん人気があること。それから、侯は今から半歳ほど前から消息を断っていること――
たったこれだけのことではないか。しかも、これが暗号の鍵の正体をつきとめる材料らしいものは、一つも見当らない。私は、ひとりぎめにすぎる白木の暴挙に対し、すくなからぬ不満を覚えたのであるが、事ここに至っては、そんなことを云っても何にもならない。白木のやつは、どうやらドイツ軍人たちに、この暗号の鍵は、われわれの手によらなければ永久に発見できないであろうといったような見得を切って来たものらしい。どっちにしても私は雲を掴むような仕事に、大汗をかかねばならなくなったのである。
私が当惑しきっているのにはお構いなしに、白木はボーイにいいつけ、持って来させた銀の盆の上の酒壜を眺め、にたにたと笑いながら、
「おい、まだここには、こんな素晴らしい逸品があるんだぜ。どうだ、陣中見舞として、一杯いこう」
と、コップをとって私にすすめる。
私は酒の入ったコップをそのまま小卓子の上に置いて、