Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こよみ
暦
壺井 栄
Lesen Sie 暦 (こよみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.332 Zeichen · 112 Bildschirme
一
一
「実枝、年忌の手紙出しといたか」
奥の部屋で出勤前の身支度をしながらのクニ子の声がせかせかと聞えた。茶の間の実枝は赤い箸でたくあんを挾み、わざとゆっくりと前歯で噛みながら、
「ん」と、どっちつかずの返事をした。
「ん、じゃないでほんまに、まだ出しとらんじゃろ」
紫紺色の袴の後ろを引きずってもどかしい声で近づいてきた。いっしょに坐る朝食なのに実枝はいつでもあとになり、というよりクニ子の方が落ちついていずにかきこんで、お茶ものまずに立ち上るので実枝は自然取残されるのであった。ちゃぶ台に肘などついてゆっくり構えている実枝に、クニ子ははがゆそうなパリパリした語調で、
「ぐずぐずしとったら間に合わんぞ、もうあと二十日じゃないか。世帯もちは今日に今日と家をあけられへんてさっさと案内しとかにゃ」
浴せかけるようにいった。小学校の教師であるクニ子は奉職以来十年近くをずっと一年生ばかり受持たされていて、踊ったり歌ったり、とかく外光にあたる時間が多いのに、近ごろは他の組の体操まで持たされて年がら年じゅう紫外線を吸収しすぎている顔は、白い半襟の上で、実枝の言葉をかりると唐きび色に光っていた。