Japanische Klassiker mit Furigana
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かけないたんていしょうせつ
書けない探偵小説
夢野 久作
Lesen Sie 書けない探偵小説 (かけないたんていしょうせつ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.117 Zeichen · 5 Bildschirme
そうすると不思議にも、今まで恐怖という事を知らなかった名探偵が、極度にその極悪犯人を恐れるらしく、秘術を尽して逃げ惑うのを、犯人が又、それ以上の秘術を尽して逐いまわる。とうとう大きな客船の上で、犯人が探偵を押え付けて、相抱いて海に投ずる。
二人の屍体を引上げて、色々と調べてみると、犯人は探偵の昔の恋人であった美人が、変装したものであった。……といったような筋はどうであろうか。
トロツキーが巴里郊外の或る小さな池の縁で釣糸を垂れていた。嘗て親友のレニンが、その池に投込んだというロマノフ家の王冠を探るためであった。
トロツキーは成功した。やがて池の底から金玉燦然たる王冠を釣上げてニコニコしていると、その背後の夕暗にノッソリと立寄った者が在る。
「どうだい。釣れたかね」
トロツキーがビックリして振返ってみると、それはレニンであった。莫斯科の十字路で硝子箱入の屍蝋と化している筈の親友であった。
トロツキーは今些しで気絶するところであった。王冠と、釣竿と、帽子と、木靴を残して一目散に逃失せてしまった。
「ウワア――ッ。幽霊だア――ッ」
レニンはニヤリと笑ってアトを見送った。