Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さいきんのきくちかんし

最近の菊池寛氏

豊島 与志雄

Lesen Sie 最近の菊池寛氏 (さいきんのきくちかんし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.324 Zeichen · 3 Bildschirme

Aozora Bunko

――菊池君は屡々瞬きをする。人の云った言葉に対して、自分の云った言葉に対して、または周囲の事物に対して、心のうちに何等かの愛情が動く時、あの眼鏡の奥の、小さな底深い可愛いい眼が、ぱっぱっと瞬きをする。一体、人の感情の動きは、口許の陰影や、頬の筋肉や、顔の色や、眼の輝きなどに、現われることが多いものであるが、菊池君に於ては、最も多く――と云うより寧ろ唯一に、眼の瞬きとなって現われるようである。云い換えれば、菊池君の感情は、その眼瞼の運動神経と、最も直接の関係連絡を持ってるようである。

――菊池君は人と話をする時、相手の顔を見ることが最も少い。議論や問答の間に於てさえ、菊池君の眼は相手の顔に注がれずに、況んや相手の眼には猶更注がれずに、何処かわきの方に、多くは斜め下の方に、ぼんやり向けられてることが多い。菊池君が傲慢だとか横柄だとか思われることがあるのは、こういう所から来る誤解も手伝ってると思う。然し考えてみると、相手の顔や眼をじっと見ながら口を利く方が、よっぽど傲慢で横柄であるかも知れない。但し、菊池君の眼はわきに向けられてることが多いけれど、それはただぼんやりわきに向いてるだけで、極り悪がって足下を見てるのとは違って、実は一方では相手の顔付や様子を見てるのかも知れない。