Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
つきかげ
月かげ
豊島 与志雄
Lesen Sie 月かげ (つきかげ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.867 Zeichen · 14 Bildschirme
その眼が、貝殼のような濁った光りではあるが、それが却って一寸美しかった。見ているうちに、私もつい引き込まれて、頬のあたりに笑いが浮んできた。そして私達は一緒になって、何という故もなく微笑み合っていた。
そこへお光が私の所にやって来た。私は彼女に真正面から微笑みかけた。彼女も頬辺でにっと笑って応じたが、その顔をすぐに引締めた。
「何だか変でしょう。」
声を低めた調子がただごとでなかった。
「何が。」
隈取った小さな眼を無理に大きく見開いて、肩の影から指先で、彼方の青年をさし示した。
「どうかしたのかい。」
「ええ。……そして、あんなに一人でにやにやしてて、どうも可笑しいのよ。」
「なあんだ、そんなことか。それじゃ僕も今にこにこしてたから、変なののお仲間だね。君だってよくにこにこしてるじゃないか。」
云われてからにっこり笑ったが、またすぐに真顔になった。
「いいえ、ほんとに変なんですよ。先刻ね、一人で酒を飲んでるうちに、ふいに大きい声で泣き出してしまったのよ。他にも七八人お客さんがいたのに、その人前も構わずに、随分長い間泣いてたのよ。はたから何と云っても、まるで聾のように返辞一つしないで、ただしくしく泣いてるんでしょう。