Japanische Klassiker mit Furigana
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げっせかいばっしょうき
月世界跋渉記
江見 水蔭
Lesen Sie 月世界跋渉記 (げっせかいばっしょうき) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.132 Zeichen · 19 Bildschirme
暫時は誰も無言でいたが、少し元気を回復すると、桂田博士は、
「やどうも大変な目に逢ったね。」
と最先に口を切った。
「実に酷い目に逢った。僕はあの時はもう駄目だと思ったが、それでもよく気が付いた。」
と月野博士が答える。
今迄喘ぐように苦しげに呼吸していた晴次はこの時ようよう口を開いて、
「叔父さん。(月野博士の事を二人ながら叔父さんと呼んでいるのだ。)今迄何でもなかったのが一体どうしてあんなになったんでしょう。」
と如何にも不思議気に尋ねる。
「それは。」と桂田博士が横から引取って、「始めの中はそうでもないが、飛行船が月に近くなるとともに、今迄は地球の引力に左右されていたのが、俄に月の引力に曳かれたからで。」……と苦笑しつつ「僕も勿論始めにこの研究もして充分の設備はしておいたつもりなんだけれど、まだ設備が足りなかったと見えて、遂々こんな目にあわされたんだ。これは全く僕の手落なんだ。」
と半分は晴次への説明、半分はほかの者への申訳のようにいった。
莞爾莞爾しながら聞いていた月野博士は、
「ここまでは桂田君の尽力でまず無事に到着したからこれから僕の働く番だ。」
と、いいながら立ち上って、厚い硝子を張った窓から外を覗いて、