Japanische Klassiker mit Furigana
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げつめい
月明
豊島 与志雄
Lesen Sie 月明 (げつめい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.772 Zeichen · 34 Bildschirme
春には松露が沢山取れるという松林の中には、所々に名もない箪が出てるきりだったが、その代りに、尾長と俗に呼ばれてる白と黒と灰と三色の美しい鳥が沢山居た。巣立ったばかりの雛が枝から枝へと危っかしく飛び移っていた。
彼はその雛の小さいのを一つ、松から揺り落して家の庭に持って来た。持っては来たが、さてどうしていいか分らなかった。
「あら、なあに?」
張りのある澄んだ俊子の声が響いたかと思うと、此度はやはり彼女の喉にかかったゆるやかな声が、
「まあ、可愛いいんですね。」
飯粒を持って来てくれてやったが、食べようともしなかった。地面に置かれるときょとんとした眼付をしてじっとしてるのに、掌に取られると小さな羽をばたばたやった。
「可哀そうですわ。助けておやりなさいな。」
「ええ。」
と答えて行こうとすると、後ろから、彼の方へ呼びかけるのでもなくまた独語でもなく、何気ない調子で、
「もう今日きりね。晩にまた海へ出てみましょうか、屹度月が綺麗ですわ。」
振り向いてみると、彼女は顔の下半分で微笑んでいた。が、じっとこちらを見てる黒目がちの眼が、変に熱く鋭く感ぜられた。
彼はやはり場を失った眼を俄に伏せて、松林の方へ馳けていった。