Japanische Klassiker mit Furigana
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げつめい
月明
豊島 与志雄
Lesen Sie 月明 (げつめい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.772 Zeichen · 34 Bildschirme
二
みると、辺鄙なのが却ってよかったのだ。東京から入り込んだ客は、彼等を除いて、その部落に六七人とは数えられなかった。
「気兼ねする大勢の避暑客がないのが、一番いいわね。」
「その代り、静夫みたいな悪戯者が居るから、気をおつけなさい。」
「あいた!」
四五歩後れてぼんやりしてる所へ、自分の名前がふと耳についたので、何を云ってるのかと思って足を早めたはずみに、叢に踏み込んだ蹠を何かでちくりと刺された。彼は飛び上って足を抱えた。
「どうしたの、頓狂な声を出して。」
掌で砂を払い落して蹠をしらべたが、もう何処が痛いのか分らないくらいに、何の傷跡も残ってはいなかった。
「蟹でも踏みつけたのかと思ったが、何でもなかった。」
それでも、俊子が気懸りそうな眼付でじっと見てくれたのが、彼には嬉しかった。その嬉しさを、他人にも自分にも押し隠すようにして、馳け出してやった。
二
川の干潟や陸には、甲羅の赤い小蟹が沢山居た。その蟹が殆んど居なくなった川口で、水にはいるのであった。広漠たる太洋に面した浜では、荒波が危険で泳げなかった。
「も少しこちらへいらっしゃいよ、泳ぎを教えてあげるから。