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Japanische Klassiker mit Furigana

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げっぴょうをして

月評をして

豊島 与志雄

Lesen Sie 月評をして (げっぴょうをして) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.339 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

月評をして、あらゆる情実より脱せしめよ。

情実は、真実を蔽い隠す最も危険なる霧である。この霧を通して眺むる時、物の輪廓はぼやけ、物の色彩は輝きを失う。そして其処には怪しい畸形な幻がつっ立ってくる。

情実に囚われた批評が文壇にも如何に多いかは、私が茲に喋々するにも及ぶまい。勿論吾々は、全く面識のない人の作品に接する時と、親しい友人の作品に接する時とは、その間の気分に多少の差異がある。然しその気分に評価の眼を乱されまいと努むるのは、批評家の最も公正な態度であろう。友愛の情と批判の知とは別物である。後者が前者の機嫌を取る時には、もはや其処には阿諛しか存しない。後者が厳正であればあるほど、前者は益々純真な光りを放ってくる。そして作者その人に対する理解は、作品に対する理解を益々深からしむることにのみ益立つであろう。

情実批評の例として、対人関係から来る阿諛的批評や反感的批評、評家が創作家でもある場合に於ける自己標準の退嬰的批評や他日を予想する下心的批評、それらの卑屈なものを私は茲に持ち出すまい。私が一例として持出したいのは、創作当時に於ける作者の状態を勘定に入れた批評である。