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Japanische Klassiker mit Furigana

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あさのかぜ

朝の風

宮本 百合子

Lesen Sie 朝の風 (あさのかぜ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.605 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

にぱーっとうちひらいた広い大きい原っぱを眺めた。昔からあった赤煉瓦の高塀は、跡かたもなくなっていた。トゲのついたざっとした針金の垣根で歩道との間を仕切られて、その垣根から歩道へ雑草の葉っぱを町はずれの景色らしくはみ出させながら、草原は広々と遠くまでひろがっている。いくらかむこう下りの地勢で、遠くの草の間に茶畑のあとらしいものが見えた。ちょいとした畑のようなものも見える。附近の子供らはその空地をすてておく筈がなく、遊ぶ声々はきこえているが姿はよく見えない。原っぱはそんなに広闊である。さえぎるものなく青空も春光を湛えてその上に輝いている。

この原っぱの眺めの趣はしかしながら単調でなくて、暫く佇んでみているうちにこの原の風景としての面白さには、草原の右手よりの彼方に聳えている一つの小さい古風な、赤煉瓦の塔の緑青色の円屋根が重要なアクセントをなしているのがわかって来るだろう。その塔をかこんで灰色のコンクリートの塀が延びていて、その一廓の近代的な白い反射にひきかえて、そこにつづく原っぱの左手には、ひろい距離をへだてたこちらからもその古びかたや、がたがた工合のかくせない人家が黒くあぶなっかしく連っている。