Japanische Klassiker mit Furigana
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あさやけ
朝やけ
豊島 与志雄
Lesen Sie 朝やけ (あさやけ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.795 Zeichen · 24 Bildschirme
だから、眼が覚めるとおれは、もう諦めて、布団の中でぱっちり眼を開いていた。雪洞の中の二燭光が、いやに明るい。いけないのは、女がいっしょに寝ていたことだ。女……と、そう言い切ってしまえるほど、おれの心はもう喜久子から離れていた。いや、初めからおれは喜久子を愛したことが本当にあるか、どうか怪しいものだ。
彼女は、乳房が人並以上に大きい。もう三十五歳ほどにもなって、まだ子供を産んだことがなく、而も幾人かの男の肉体を識っているであろう。そういう女の、大きな豊かな乳房は、或る種の男を甘やかす。悲しい哉おれはその或る種の男の一人だった。おれは彼女の大きな乳房に甘えた。その乳房は、おれにとってはつまり、女性の体温だったのだ。底知れぬぬるま湯の深淵、だが何の奇異も生気もない深淵、ただなま温いだけで、眠れ眠れとすべてのものを誘う盲目の淵、その中におれはもぐり込んだ。快適でもあり、息苦しくもあった。次第に、後者の方が強くなって、窒息の危険さえも感ぜられてきた。
おれは彼女を肱で突ついてみた。愛する女だったら、指先で探ってみるところだが、彼女には肱でたくさんだ。彼女はぐっすり眠っていた。