Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あさやけ
朝やけ
豊島 与志雄
Lesen Sie 朝やけ (あさやけ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.795 Zeichen · 24 Bildschirme
枕頭の水を幾杯も飲んだ。その水のコップに、へんに黄色がさしていた。持ちようによって、黄色は浮きだしたり消えたりした。それが、置床にある杜若の花の反映だと分った。
陶器の花瓶に三輪、無造作に活けこんだ、黄色い杜若の花だった。普通の白や紫の方がよほど綺麗なのに、どうしていやな黄色の花などを拵えるのだろう。――殊に、雪洞の二燭光で眺めると、その黄色は、殆んど生気がなくて造り物のようだ。――そんなことを考えていると、また、鼻先に、喜久子の耳が見えた。その耳も、なんだか黄色みを帯びている。気のせいか、雪洞の白紙も黄色みを湛えている。室の中の明るみ全体も黄色っぽい。おれは眼をこすり、立ち上って両腕をぐるぐる廻し、坐って額を叩いた。
「あら、どうしたの。」
喜久子がこちらを向いて、眼をぱっちり開いていた。その眼もちょっと黄色くて、そして何にも見ていないもののようだ。おれは頭から布団にもぐりかけたが、彼女の体温に引かれて、その大きな乳房に顔を埋めた。彼女は柔らかい片腕をおれの首に巻いた。おれの眼から涙が出てきた。悲しいのではなく、ただ涙がしぜんと流れた。それから、呼吸が苦しくなった。