Japanische Klassiker mit Furigana
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あさやけ
朝やけ
豊島 与志雄
Lesen Sie 朝やけ (あさやけ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.795 Zeichen · 24 Bildschirme
おれは自分で自分の息を塞ぐように、彼女の乳房にますます顔を押しあて、両手で縋りついていった。そして彼女の体温に咽せ返ると、寝返って彼女の方へ背を向けた。
おれは酔っていたのではない。だが、すべて夢のような心地だ。暫くうとうとして、またはっきり眼が覚めた。彼女はよく眠っていた。おれはそっと起き上って、寝間着をぬぎ捨て服装をととのえた。そして草履をつっかけて、外の屋上へ出、木の腰掛に身を托した。かすかに冷気を含んだ暖い大気が、ゆるやかに動いていた。暗い空に、ところどころ、星が杳かに見えていた。おれはもう何も考えず、星の光りに瞳をこらして……そしてうとうとしたらしい。
眼を開くと、壮麗な朝焼、冷たい露、まるで別な世界だ。ふしぎと宿酔の気持ちもない。おれはもうこれで、喜久子から離れ去ろうと思う。ここの酒場に来ないというのではない。ただ、彼女の体温から離脱したいのだ。このような盲目の愛情を、おれの魂はもう荷いきれなくなった。而もどれだけの愛情か。彼女はおれとのことを真剣だと言った。また、或る抱擁の瞬間、彼女は呻いて、あんたが一番好きと言った。そのような言葉を嘗て、彼女は誰にも言わなかったであろうか、また、今後誰にも言わないであろうか。