Japanische Klassiker mit Furigana
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あさがおぞうし
朝顔草紙
山本 周五郎
Lesen Sie 朝顔草紙 (あさがおぞうし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.019 Zeichen · 29 Bildschirme
首尾よく采女を討取ったら嫁に迎えて帰れ、是が褒美だ」
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「――是が褒美だ」と云った時の、明るい父の顔が信太郎には忘れられなかった。
信右衛門がまだ浜田にいた頃、国家老の建部監物と莫逆の交りがあって、その娘文絵と信太郎とを、行末は夫婦にしようという固い約束が取交してある、ということは、予て亡き母からも聞かされていた。
――浜田には自分の未来の妻がいる。
そう思うことが、若い信太郎の胸をどんなにときめかせたであろうか。
自分では文絵という娘の顔も覚えてはいなかったが、年経つと共に遙かな憧憬が生れ、秘かに描いては消し、消しては描く俤が、いつか心の底に深くかっちりと刻みつけられていたのである。そしてその俤の人が、十五年という長い時の帷をかかげて、今や信太郎の前に現われようとしているのだ。
浜田へ着いた日は雨だった。――城下町へ入ったのが宵の八時頃、
「宿を取って見廻りの者に調べられでもしてはいけないから、着いたら直ぐ建部の家へ草鞋を脱ぐがよい」
そう云われて来たので、城下へ入ったところで夕食をしたためたうえ、馬場外にある建部の屋敷へ向った。するとその途中、宗念寺という寺の近くで思いがけぬ事に出会った。