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Japanische Klassiker mit Furigana

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きのこせっぽう

木の子説法

泉 鏡花

Lesen Sie 木の子説法 (きのこせっぽう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.107 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

「いかが。」

「これも望む処です。」

つい私は莞爾した。扇子店の真上の鴨居に、当夜の番組が大字で出ている。私が一わたり読み取ったのは、唯今の塀下ではない、ここでの事である。合せて五番。中に能の仕舞もまじって、序からざっと覚えてはいるが――狸の口上らしくなるから一々は記すまい。必要なのだけを言おう。

必要なのは――魚説法――に続く三番目に、一、茸、(くさびら。)――鷺、玄庵――の曲である。

道の事はよくは知らない。しかし鷺の姿は、近ごろ狂言の流に影は映らぬと聞いている。古い隠居か。むかしものの物好で、稽古を積んだ巧者が居て、その人たち、言わば素人の催しであろうも知れない。狸穴近所には相応しい。が、私のいうのは流儀の事ではない。曲である。

この、茸――

慌しいまでに、一樹が狂言を見ようとしたのも、他のどの番組でもなく、ただこれあるがためであろう、と思う仔細がある。あたかも一樹が、扇子のせめを切りながら、片手の指のさきで軽く乳のあたりと思う胸をさすって、返す指で、左の目を圧えたのを見るにつけても。……

一樹を知ったほどのもので、画工さんの、この癖を認めないものはなかろう。