Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きそおんたけのりょうめん

木曽御嶽の両面

吉江 喬松

Lesen Sie 木曽御嶽の両面 (きそおんたけのりょうめん) von 吉江 喬松 (よしえたかまつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.819 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

ふと気がつくと、何処かで人の声がする、馬のひひんと嘶くのが耳に這入る。それが何だか、暗い遠くの方から聞えて来るようで切角真暗い穴の中から這い出して来て、一生懸命で、その穴の縁に取りついて物音を聞いているが、ともすればその縋っている力を失って、またもとの穴の中へ落ち込んでしまいそうな気がする。

話し声、馬の嘶きが一層はっきりして来た。室の中もうす明く見えだして、昨日の山路、今日の行くてのことが朧気ながら頭に浮んで来る。同行者も皆眼を覚ましているようだ。

戸を開けて見た。

爽かな山国の朝の景色! 雲も霧も夜の間にすっかり晴れてしまって、松林の山がころび出たように眼の前に迫って、その裾を白い泡を立てて流が走って行く。

青やかな草の香が鼻を襲う。見ると、直ぐ前の庭に刈って来たばかりの青草が山のように積んで地におろしてある。馬小舎に投げ込んで、馬に踏ませてから畑の敷肥に使うのだろう、馬は今までの重荷を急に卸されて身軽になって、身体じゅうに波を打たせながら、何人も引かないのに、のそりのそり先きに立って歩いて行くと後から脊負子を脊に、雪袴に草鞋穿きの若い男女がついて、家の角を廻って見えなくなった。