Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もくばはまわる

木馬は廻る

江戸川 乱歩

Lesen Sie 木馬は廻る (もくばはまわる) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.819 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

それからやがて十時頃でもあったろうか。活動館がひけたかして、一しきり館の前の人通りが賑やかになったあとは、一時にひっそりとして了って、見物達も、公園生え抜きのチンピラ共の外は、大抵帰って了い、お客様も二三人来たかと思うと、あとが途絶える様になった。そうなると、館員達は帰りを急いで、中には、そっと板囲いの中の洗面所へ、帰支度の手を洗いに入ったりするのである。格二郎も、お客の隙を見て、楽隊台を降りて、別に手を洗う積りはなかったけれど、お冬の姿が見えぬので、若しや洗面所ではないかと、その板囲いの中へ入って見た。すると、偶然にも、丁度お冬が洗面台に向うむきになって、一生懸命顔を洗っている、そのムックリふくらんだお尻の所に、さい前の附文が、半分ばかりもはみ出して、今にも落ち相に見えるのだ。格二郎は、最初からその気で来たのではなかったけれど、それを見るとふと抜取る心になって、

「お冬坊、手廻しがいいね」

と云いながら、何気なく彼女の背後に近寄り、手早く封筒を引抜くと、自分のポケットへ落し込んだ。

「アラ、びっくりしたわ。アア、おじさんなの、あたしゃ又、誰かと思った」