Japanische Klassiker mit Furigana
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すだま
木魂
夢野 久作
Lesen Sie 木魂 (すだま) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.668 Zeichen · 46 Bildschirme
「……お父さアーん……」
その声の反響がまだ消えないうちに彼は、カンニングを発見された生徒のように真赤になってしまった。……線路を歩いてはいけないよ……と云い聞かせた自分の言葉を一瞬間に思い出しつつ、わななく指先でバットの吸いさしを抓み捨てた。そうして返事の声を咽喉に詰まらせつつ、辛うじて顔だけ笑って見せていると、そのうちに、又も甲高い声が上から落ちて来た。
「お父さアン。きょうはねえ。残って先生のお手伝いして来たんですよオ――。書取りの点をつけてねえ……いたんですよオ――……」
彼はヤットの思いで少しばかりうなずいた。そうして吾児が入学以来ズット引続いて級長をしていることを、今更ながら気が付いた。同時にその太郎が時々担当の教師に残されて、採点の手伝いをさせられる事があるので……ソンナ時は成るたけ連れ立って帰ろうね……と約束していた事までも思い出した彼は、どうする事も出来ないタマラナイ面目なさに縛られつつ、辛うじて阿弥陀になった帽子を引直しただけであった。
「……オトウサーアアーンン……降りて行きましょうかアア……」
という中に太郎は堤の上をズンズンこちらの方へ引返して来た。