Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すだま

木魂

夢野 久作

Lesen Sie 木魂 (すだま) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.668 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

……ナーンだ。馬鹿馬鹿しい。何でもないじゃないか。

……俺は今学校に出かける途中なんだ。……今朝は学課が初まる前に、調べ残しの教案を見ておかなければならないと思って、午後の時間の睡むいのを覚悟の前で、三十分ばかり早めに出て来たのだ。しかも学校まではまだ五基米以上あるのだから、愚図愚図すると時間の余裕が無くなるかも知れない……だから俺はここに立佇まって考えていたのだ。国道へ出て本通りを行こうか、それとも近道の線路伝いにしようかと迷いながら突立っていたものではないか……。

……ナーンだ。何でもないじゃないか……。

……そうだ。とにかく鉄道線路を行こう。線路を行けば学校まで一直線で、せいぜい三基米ぐらいしか無いのだから、こころもち急ぎさえすれば二十分ぐらいの節約は訳なく出来る……そうだ……鉄道線路を行こう……。

彼はそう思い思い今一度ニンマリと青黒い、髯だらけの微苦笑をした。三角形に膨らんだボクスの古鞄を、左手にシッカリと抱き締めながら、白い踏切板の上から半身を傾けて、やはり霜を被っている線路の枕木の上へ、兵隊靴の片足を踏み出しかけた。

……が……又、ハッと気が付いて踏み留まった。