Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すぎがき

杉垣

宮本 百合子

Lesen Sie 杉垣 (すぎがき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.051 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんな元手がいつ出来たのかね」

口の重い志保田が、変にばつのわるいような生真面目な顔つきで質問すると、

「銀行からかりるさ!」

その度胸がなくて、という風な答えかたで、銀行利子とその貝柱がこの半年の間に騰貴した率とを比べたりして、飯島はビールのせいよりも自分の話題で紅潮した顔を、友人の一人一人に向けて話した。

「いくらくらいかりるんだ」

「銀行が貸すだけ借りるつもりだ」

それをきくと同時に、志保田は椅子の上で居ずまいを直すように体を動かし、伏目のまま煙を吐きながら、そこに出ている灰皿の底へきつくバットの先をにじりつけた。心に受けた衝動や否定的な不安やらが、いかにも表情的にその無言の動作のうちに語られている。慎一の心には切実にそれが触れた。志保田の親父は大正九年の暴落のとき米問屋の家を潰してしまっているのであった。

この前のヨーロッパ大戦の時代と現在とでは世界の事情が全くちがって来ている事実を、いくらか専門の立場で云う慎一の言葉を、飯島は腕組みして、懐疑的な表情を露骨にあらわしてきいていたが、

「そりゃ小柳は昔から学究さ」

不機嫌な調子で反駁した。

「けれども、例えば統計なんてものにしろ、いつだって現実を数歩おくれてついて来ているんだ。