Japanische Klassiker mit Furigana
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くだもののげんそう
果物の幻想
小川 未明
Lesen Sie 果物の幻想 (くだもののげんそう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.045 Zeichen · 3 Bildschirme
梅雨の頃になると、村端の土手の上に、沢山のぐみがなりました。下の窪地には、雨水がたまって、それが、鏡のように澄んで、折から空を低く駆けて行く、雲の影を映していました。私達は、太い枝に飛びついて、ぶら下りながら赤く熟したのから、もぎとりました。中には、片輪の実もあった。まだ、熟さないのは、黄色かった。鬱陶しい、黒っぽい、あたりの景色が眼にうつりました。そして、揺ぶるたびに、冷たい雫が、パタ/\と滴った。葉裏についている白い蛾が、ちょうど花びらかなどの散ったように、私達の身のまわりをひら/\しました。それは気味わるかったが、広々と開けた場処へ出て、みんなで、もぎとって来た、針の先でつゝいたような白い点々のある、真赤の実を食べた、そのうまかったことと、青い、青い、田園の景色を忘れることができません。
この話は、初期のころの作品、「日蝕」のうちに書いたことがあります。
私は、病気で、臥ていました。六つか、七つ頃のことです。昼ごろ、母は、使から帰って来ました。そしておみやげに、大きな巴旦杏を枕許に置いてくれました。私は熱のため、頭痛がするのを床の上に起き直って、暗紫色にうまそうな水をたゝえた果物を頬につけたり接吻したりしました。