Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かれぎくのかげ

枯菊の影

寺田 寅彦

Lesen Sie 枯菊の影 (かれぎくのかげ) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.543 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

それでなければ今頃こんな消極的な俗吏になって、毎日同じような消極的な仕事を不思議とも思わずやっている筈はないかも知れぬ。いったい自分は法科などへはいってこんな俗吏になろうと云うような考えは毛頭なかった。中学校に居た頃、先では何になる積りかなどとよく人に聞かれた事はあったが、何になる積りだか、そんな事はまだ考えていなかった。もし考えたら何もなるものが無くて困ったかも知れぬ。官吏はどうかと云った人もあったが、役人と云うものは始めから嫌だった。訳もわからないで無暗に威張り散らすのが御役人だと思っていた。郵便局の雇や、税務署の受附などに、時おり権突を食わせられる度に、ますます厭になった。それから軍人も嫌であった。その頃始めて国の聯隊が出来て、兵隊や将校の姿が物珍しく、剣や勲章の目につくうちは好かったが、だんだん厭な事が子供の目に見えて来た。日曜に村の煮売屋などの二階から、大勢兵隊が赤い顔を出して、近辺の娘でも下を通りかかると、好的好的などと冷かしたり、グズグズに酔って二、三人も手を引き合うて狭い田舎道を傍若無人に歩いたりするのが、非常に不愉快な感じを起させた。