Japanische Klassiker mit Furigana
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そめきちのしゅぼん
染吉の朱盆
国枝 史郎
Lesen Sie 染吉の朱盆 (そめきちのしゅぼん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.824 Zeichen · 35 Bildschirme
いや待てよ!」
とギョッとした。
「あッ、いけねえ、こんな筈ァねえ!」音に出して叫んだものである。「あのおちついた岡八兄貴、たとえどんなにあわてようと、煙管を落として行く筈はねえ。……にもかかわらず落ちている……ということであってみれば、大事件があったと見なければならねえ。……うん、ここにほごがある。……うん枯草が敷かれている。……休んで一服したんだな? ……さあてそれから、さあてそれから?」
半九郎あたりを見廻した。
眼についたは塀の足跡! いや雪駄の跡である。ヒョイと眼を上げると忍び返しが、二三本外側へ曲っている。
「ははあ兄貴、忍び込んだな」
眼をつむって考えた。
「お縫様屋敷へやって来た。やって来たからには念のため、内を一応は調べるだろう。まあまあこれは尋常だ。が、煙管が落ちている。たしかに休んだ跡がある。……とすると煙管の落ちたのさえ、感づかない程に熱心に、休んで考えたということになる。その揚句屋敷へ忍んだとすれば、充分何かを見究めた結果、忍び込んだということになる。……こいつァ只の空家じゃァねえぞ!」
半九郎ゾッと寒くなった。
「待て待て、待て待て、あわてちゃァいけねえ。