Japanische Klassiker mit Furigana
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そめきちのしゅぼん
染吉の朱盆
国枝 史郎
Lesen Sie 染吉の朱盆 (そめきちのしゅぼん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.824 Zeichen · 35 Bildschirme
不思議な眼つきで私を見る」
もう一枚の盆に対する、執着の念が深くなった。
そこで、とうとう蒔絵師を呼んだ。
「こんな朱盆ははじめてみます。この朱色は無類です。どんな顔料を使いましたやら。塗も蒔も同じ手です。これも素晴らしゅうございます。私など真似も出来ません。だが作り手は知れています。日本に蒔絵師は沢山あっても、これ程の物を作る者は、染吉のほかにはございません。……ああ染吉でございますか? 谷中の奥に住んでおります。大変な変人でございましてね、自分で作った品物を、人手に渡すのを惜がるのです。で、仲々手に入りません。どんな大金を積んだところで、気に向かないと作りませんので、珍重されておりますよ。だが染吉の作にしても、これは飛切り上等の方で、一代の傑作と申されましょう。……ええと年はまだ若く、二十八の独身者で、それに醜男でございますので女嫌いで通っております。いかに仕事は名人でも、変人の上に醜男ときては、ご婦人方には好かれませんからなあ。それこそあなた、顔と来たら、疱瘡の痕でメチャメチャで」
これが蒔絵師の挨拶であった。
「ああそれではあの男だ」お縫様は直に感付いた。