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Japanische Klassiker mit Furigana

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りゅうえいひろくかつえぐら

柳営秘録かつえ蔵

国枝 史郎

Lesen Sie 柳営秘録かつえ蔵 (りゅうえいひろくかつえぐら) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.933 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

その裏門が海に向いた、わけても宏壮な一宇の屋敷の外廻りの土塀まで来た時であった。その土塀へ手を掛けると、鬼小僧はヒラリと飛び上った。土塀の頂上で腹這いになり、家内の様子を窺ったが、樹木森々たる奥庭には、燈籠の燈がともっているばかり、人の居るらしい気勢もなかった。

「よし」と云うと飛び下りた。そこで地面へ這い這いになり、改めて奥庭を窺った。ある所は深山の姿、又ある所は深林の態、そうかと思うと谷川が流れ、向うに石橋こちらに丸木橋、更にある所には亭があり、寂と豪華、自然と人工、それの極致を尽くした所の庭園は眼前に展開されていたが、これぞと狙いを付けて来た、目的の物はみえなかった。

「おかしいなあ?」と呟いたが、鬼小僧は失望しなかった。そろそろと爪先で歩き出した。と一棟の茶室があった。その前を通って先へと進んだ。

「これ小僧」と呼ぶ声がした。

「感心々々よく参った。ここだここだ、こっちへ来い」

茶室の中から聞こえてきた。

鬼小僧は度胆を抜かれたが、それでも周章はしなかった。足を払うと縁へ上った。と、雨戸が内から開いた。そこで鬼小僧は身を細め、障子をあけて中へ入った。