Japanische Klassiker mit Furigana
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さざえ
栄螺
田畑 修一郎
Lesen Sie 栄螺 (さざえ) von 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.785 Zeichen · 4 Bildschirme
私はもう何年か夏の海に遠ざかっている。海で泳ぐ快味は忘れはしないが段々縁がなくなるようだ。私は日本海沿岸に近い所に生れたので、幼い時から夏になると殆ど毎日のように海へ入った。
私の生れた地方は中国地方の花崗岩の地質のためか、海岸はいわゆる白砂で、水もきれいだ。東京で羽田の潮干狩に行って汚いのにこりた。そのためもあるが、東京に住みついてから十一年ばかりまだ附近の海水浴場へ出かけたことがない。
四五年前にたった一夜、思いがけないことから海に入った。うちの女の子が小学校の夏季生活で外房州の千倉へ行っていたのだが、病気だという電報が来たので慌てて出かけた。この娘は三つの時に疫痢をやって死にかかったことがあるので、てっきりそれに近い病気だと思った。いろいろ心配しながら着いてみると、下駄をはいて友達とそこらを歩いている。あっけにとられた。その年はひどい暑さだったが、千倉は殊に暑さがはげしいように感じた。あまり丈夫ではないので、疲労熱を出したのらしい。
安心したのと、ついでだからと言うので、その晩は子供達の食堂に泊めてもらった。他に父兄が二人いた。私は慣れない所だったので、その晩とうとう眠れなかった。