Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しおり

栞

小山 清

Lesen Sie 栞 (しおり) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.536 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

千代ちゃんは色白で眉が濃く、伏目にしていると、目蓋がとても清げに見えた。私は千代ちゃんと共にいながら、よくうつむいている千代ちゃんの顔をぬすみ見た。

ある雨の日に、二人で部屋で遊んでいて、所在ないままになんの気なしに違棚の上にある戸棚の中を探ぐったら、浮世絵の版画が何枚か紙にくるんであるのが出てきた。その中に歌麿と蘆雪の山姥の画があった。その対照的な図柄に私達は目を瞠った。

「清さんはどっちが好き?」

千代ちゃんは私の顔色を窺いながら云った。私はなんとなく気押されて口籠った。その頃の私は山姥よりは金太郎の方に気が惹かれていた。千代ちゃんは蘆雪の山姥のあの歯をむき出している物凄い老婆の口もとをいきなり人さし指で被った。千代ちゃんは不審な顔をしている私に向い、

「ね、こうして歯を隠したら、どんなふうに見えるかと思って。」

と云い、すぐ指をどけた。

画の上に置かれた千代ちゃんの白い指の影像が、その後しばらく私の目に残った。

千代ちゃんのお父さんの勤めていた役所も、兄さんの奉職していた小学校も、また私の兄の通っていた中学校も共に山の手にあったので災害を免れたが、私と千代ちゃんの学校はそれぞれ浅草と本所にあったので焼けてしまった。