Japanische Klassiker mit Furigana
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うめづしえんおうでん
梅津只円翁伝
杉山 萠円
Lesen Sie 梅津只円翁伝 (うめづしえんおうでん) von 杉山 萠円 (すぎやまほうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.582 Zeichen · 130 Bildschirme
そんな次第で、やっと「小鍛冶」の上羽の謡になると型の動きが初まるので、蚊責めの難から逃れてホッとした。
それから下曲が済んで中入前の引込みの難しかったこと。
「……静かに……静かにッ……」
という翁の怒鳴り声が暗い舞台の中に雷のように反響して私を縮み上らした。又もワンワンと寄って来る蚊の群を怖れ怖れシテ柱をまわる時の息苦しかったこと。
◇
それからやっと「小鍛冶」の後シテになって、翁と二人で台を正面へ抱え出す。その上に翁が張盤を据えて、翁は自分の膝で早笛をあしらい初める。それがトテも猛烈なものでよく膝が痛まないものだと思ううちにシテの出になる。
その時の運びの六かしかったこと。一度出来てもその次にはダレてしまって出来ない。むろん今は出来ないどころか記憶にさえ残っていないが、しまいには翁が自分で足袋を穿いて来て演ってみせた。その白足袋の眼まぐるしく板に辷ってゆく緊張した交錯の線が今でも眼にはハッキリ残っているようであるが、やはり説明も出来ず真似も出来ない。
その序に翁は台の上からビックリする程高く宙に飛んで、板張りの上に片膝をストンと突いて見せたが、これは筆者も真似て大いに成功したらしい。