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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいしのつえ

梅颸の杖

吉川 英治

Lesen Sie 梅颸の杖 (ばいしのつえ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.966 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

旦那がたから聞けば、つまらない話でしょうが、その中で生きるあっし共にとってみれば、捨てられない意地でしてね』

『面白いな』

山陽は興につられて――

『それを話すために、わしを待っていたのか』

『ご冗談でしょう、そこまでの道楽気はありませんや。実あ、先生に一札書いて貰いたいものがあるんで』

『詩か』

『そんな物は、ごまの蠅にゃ、用のねえしろ物です。あっしが書いて貰いたいというなあ、その杖を確かに盗まれたという証文なんで。どうでしょう、書いてくれますか。書いてくれなけりゃ、又どこかでその杖を盗んで持って行きますぜ』

山陽は、ごまの蠅の顔を沁々と見ていたが、どうにも憎めない男だと思った。

それに、言うことが面白い。

『よろしい、書いてやろう。理由を話せ。何しろ、この杖をお前に盗まれちゃ困るからな』

彼も、磊落にくだけて言った。

『こうなんでさ、ざっとした所が』

と、ごまの蠅が話し出すのである。

×

室の津の港に、五六人のごまの蠅が、干鰯のように砂地で転がっていた。そして、品のよい老女が通るのを見つけて、賭をした。

『あの杖が盗れるか』

と、ひとりが言い出したのに始まって、