Japanische Klassiker mit Furigana
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せいかけんざっき
棲霞軒雑記
上村 松園
Lesen Sie 棲霞軒雑記 (せいかけんざっき) von 上村 松園 (うえむらしょうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.211 Zeichen · 15 Bildschirme
商人は、なんでもよい、仕入れて売って儲ければよい――というのではいけない。お客様にいい品を買って悦んで貰わねばいけない……と、母はいつも言っていられた。
今の商人にも、そのような良心が望ましいものである。
子供のころ金魚が好きでよく金魚鉢から金魚をすくい出してそれに赤い着物をきせたりし、母に見つかって大目玉を頂戴したものである。
「それでは金魚可愛がったことにならへんやないか。金魚はハダカでいても風邪ひかんもんやよって、着物ぬがしておやり」
私は動かなくなった金魚を掌にのせて当惑しながら、母の言葉にうなずいた。
子供心に死んだ金魚を庭の一隅に埋めて小さな石のお墓をたてて母にその仕末を報告した。
母は濡れ縁に立って困った顔をしながら私に言った。
「お墓たててやるのはええことやが、せっかく生えた苔を掘り返しては何にもならへんやないか」
子供の私には良いこと悪いこととの区別が大人ほどはっきり判らなかった。
私はそんな折り心の中で首をかしげるのであった。
「どうしたら大人が褒めてくれる、ええことばかり出来るのであろう」
――と。
伜の松篁も私に似て金魚が好きであった。