Japanische Klassiker mit Furigana
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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
Lesen Sie 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.845 Zeichen · 86 Bildschirme
ところが今のざまですっかり嫌いになっちゃった。嫌いも嫌いも大嫌いさ。あたしゃもうお前と歩かないよ。飛んだ思いちがいさ。大河から土左衛門の女でも引張りあげて、抱いて寝てるがいいさ。意気地なしの、大甘野郎の、女たらしの……」
お千はまた興奮して、地団太を踏み、往来の砂埃をしきりと立てていた。
杜は後向きになって、じっと足を停めていた。
「じゃお前さんともお別れだよ。あたしゃ好きなところへ行っちまうよ。――ああ、あのとき横浜の崩れた屋根瓦の下で焼け死んじゃった方がどんなに気持がよかったか分りゃしない。薄情男! 女たらし!」
そのとき杜は、顔をクルリと廻して、お千の方を見た。お千は不意を喰らって狼狽し、開きかけた口を持て余し気味にただ大きな息を呑んだ。
杜はツカツカとお千の方に寄っていった。彼の勢いに呑まれたお千がタジタジとなるのを追いかけるようにして、杜はお千の手首をムズと補えた。肉づきのいい餅のように柔かな手首だった。
「――僕と一緒についてくるんだ。逃げると承知しないぞ」
「ええッ。――」
「意気地なしか大甘野郎かどうか、君に納得のゆくようにしてやるんだッ」