Japanische Klassiker mit Furigana
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しいのき
椎の木
豊島 与志雄
Lesen Sie 椎の木 (しいのき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.002 Zeichen · 13 Bildschirme
いつまでも動きませんでした。
猫はまた右手を出しかけて、やめました。
――おかしな奴だな。生きてるのか死んでるのか、さっぱりわからん。
猫は虫をかいでもみないで、椎の木の根もとの方へ行きました。
だいぶしばらくして、こがね虫はしずかに頭をもたげ、足をのばしました。そしてはいだしました。
凧糸が地面にのびてるそのわきを、すれすれに、こがね虫ははってゆきました。先の方になると、糸は椎の木から落ちて不規則にこんぐらかっています。そこまでたどってゆくと、こがね虫は立ちどまりました。立ちどまって、みじかいしょっかくだけを動かして、しばらく考えました。
――はてな、どうしたものかなあ。どちらへ行くとしようか。
こがね虫は迷ったあげく、羽をひろげて、飛びあがりました。ぶーんと羽音をさして、まっすぐに飛んでゆきました。そしてすぐ、その姿は見えなくなりました。
こがね虫のかわりに、椎の古葉が一枚、ひらひらとまい落ちてきました。その古葉が落ちたあたりに、ほかの落葉の上に、三毛猫はもうまるくなって眠っていました。そこはあたたかく日がてっていました。
椋鳥の群れはまだ戻ってきませんし、あたりはおだやかで静かでした。