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Japanische Klassiker mit Furigana

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えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Lesen Sie 榎物語 (えのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.519 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

誇張していえば、生きていても死んでも、かれらには縁のないことにちがいなかった。

「それならなぜそのままにしておいてくれなかったのだ」とさわは独りで呟いた、「あたしのことなど爪の先ほども気にしなかったくせに、国吉と逢ったらあんなひどい騒ぎかたをした、僅か三日とはいえ、あたしを押籠めにしたし、国吉には暇を出した」

「かれらはなぜあんなことをしたのだろうか」とさわはまた独りで反問した、「あたしが河見家の長女であり、国吉が下男で、身分が違うからだとしよう、――そうだとして、みんなは一度でもあたしのことを大切に扱ってくれたろうか、ほんのちょっとでも、あたしのことで心配したり、気を使ってくれたことがあるだろうか」

年が明けて三月になると、妹のなかが嫁にいった。それも田舎ではなく、江戸日本橋の絹物問屋で、越前屋茂兵衛という老舗の、長男の妻として娶られたのであった。小出は昔から生糸や絹布の集散地で、江戸から買付けに来たり、こっちから荷を送ったり、定期的に江戸と連絡のある商人が幾人かいた。その中で近江屋多助というのが河見家と親しく、越前屋となかとの縁談も多助がまとめたものであった。