Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Lesen Sie 榎物語 (えのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.519 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

お父さんも「貰われて来たようなおかしな子だ」と云った。あなたがたがあたしを見るとき、あたしを見るのではなく、あたしを素通りしてほかの物を見るにすぎない。本当にあたしは、この家へ紛れこんで来たよその子、というだけであった。さわは口に出してそう云っているように、膝の上の拳をふるわせ、歯をくいしばった。あたしのことを心配し、あたしに愛情を示してくれたのは、国吉ただ一人だった。あたしたちはなにも悪いことはしなかった。あたしも国吉も愛情が欲しかっただけだ、二人はそれをみつけ、初めてこの世に生れたことの幸福を感じた。お父さんやお母さん、妹や、いや数多い雇人たちの誰ひとりとして与えてくれなかったものを、国吉はあたしに与えてくれた。生れて初めて、あたしはこの世に生きるよろこびを知った。するとあなたは、あたしを部屋へ押籠めにし、国吉を放逐した。国吉は気を失うほど折檻され、生れた土地から放逐されたのだ。なんのために、なんのために、とさわは心の中で叫んだ。

「おまえのような者を河見家に置いておくわけにはいかない」と半左衛門は云っていた、「折竹村の家へ預けるからそう思うがいい」